サパが抱える少数民族の問題

サパは景観がきれいないい街だが、少数民族のしつこい物売りや勧誘に正直疲れる。私たちも街中を歩くたびに付きまとわれるので、予定の滞在日数より早めに切り上げようかと思ったほどだった。ここからはSapaの少数民族について詳しいホテルマネージャーのハンさんから聞いた話。
彼女たちは英語が堪能でトレッキングツアーやみやげ物を売るためにあの手この手でまくし立ててくるが、よく見ているとすべての民族が物売りやトレッキングツアーの勧誘をしているわけではない。実はこの勧誘や物売りをしているのはモン族のHau Thaoという村の出身者のみ。他の赤ザオ族やキン族などは路上で露店を広げてはいるが、しつこく付きまとったりトレッキングツアーの勧誘はしてこない。ちなみに少数民族のトレッキングツアーはガイドライセンスを持っていないのでもちろん法律違反。保険もないのでトレッキング中何かあってもすべて旅行者の自己責任。路上での物売りも本当は違反行為になる。しかし警察もそこまで手がまわっていないのが現状らしい。
多くの旅行者が貧しい少数民族に直接お金を落とそうと、直接少数民族からトレッキングツアーを購入しているのを何度も見かけたが、実はこれは一番してはいけないことだそう。トラベルエージェントを通してだと1泊2日、二人で$140ぐらいするところを直接頼むと$60ぐらいで連れて行ってくれる。旅行者からすればそこまで大きな額ではないかもしれないが、少数民族からすれば大金。たったの2日で大金が得れるので彼女たちは村での自分の仕事を放棄し、街にやってくる。そしてツアーの売上金は村全体を潤すのではなく、ツアーを請け負ったひとつの家族だけに入る。村での自分の仕事を放棄することで村内での役割分担が崩れ、貧富の差ができることによりコミュニティが成り立たなくなるということがSapaが抱える少数民族の一番の問題になっている。また観光客に必要以上に付きまとうことでSapa自体の印象も悪くなる。ちなみに直接少数民族にツアーを頼むとどれだけ自分たちが貧しいかをアピールされ、さらにチップを払わざるを得ない状況になるらしい。貧しいとアピールしてくるがHau Thao村のモン族は外国人相手に商売をしているので決して貧しいわけではない。他に本当に貧しい村はサパ郊外にいくつもある。
トラベルエージェントは外で英語を学んだ赤ザオ族の人たちが主に働いている。費用は高いが保険もすべて含まれていて、売上金は貧しい村の救済金にあてられるそう。真っ当にステップを踏んで商売をしている人たちから客を奪うことにもなるので、街の人たちからしてもモン族がしていることはもちろんよく思われていない。彼らのしていることはサパの街自体の印象も悪くし、自分たちで民族の文化や生活を壊していることになるのである。観光客ができることはそれに加担するのではなく、トラベルエージェントなど正しいルートからの観光をすること。相次ぐホテル建設など観光地化も激しいが、目先の欲に捕らわれず、自分たちの民族の文化は変わらず守っていってほしいと思う。

外国人観光客につきまとう黒モン族の女性たち
外国人観光客につきまとう黒モン族の女性たち

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